結論
AI画像はマーケティングで使えます。ただし、使う場所によって結果が変わります。
判断は2つに分かれます。決め手はそこに実物が存在するかどうかです。
- 実物が存在しないもの — 図解、概念図、アイキャッチ。AIで作って問題ありません
- 実物が存在するもの — 店内、スタッフ、料理、施工事例、お客様の声。ここは実写しかありません。AIで作った時点で嘘になります
そのうえで、安く早く作れることは強みです。1枚あたりの手間がほぼゼロなので、広告のように何案も試す場所では実際にワークします。
ただし1つ確かめてください。安いもの・手間がかからないものは、競合も同じように使っています。誰でも用意できる画像は、差になりません。最後に差がつくのは、AIでは作れない画像を持っているかどうかです。
前提: 「AIっぽさ」は見抜かれている
Googleで「AI生成画像」と入力すると、サジェストに「見分け方」「判定」「気持ち悪い」が並びます。読者はAI画像を見分けようとしていて、見分けたうえで距離を取っています。

これは新しい現象ではありません。ストックフォトが普及したときも同じことが起きました。「どこかで見た素材写真」は、それが素材だと分かった瞬間に距離をつくります。
理由は単純で、人は身近なものに反応するためです。AI画像に写っている人物は、誰でもない人です。誰でもない人の写真は、身近さを持ちません。
マーケティングでAI画像が使える場面と、使えない場面
判断は法律の前に、お客さんがどこまで進んでいるかで決まります。
| お客さんの段階 | 使えるか | どこで使うか |
|---|---|---|
| 目に留めてもらう | 使える | 広告のクリエイティブ、記事のアイキャッチ、SNSの投稿画像 |
| 内容を理解してもらう | 使える | 図解、概念図、手順の可視化 |
| 頼むかどうかを決めてもらう | 使えない | 商品・料理の写真、実績、施工事例、お客様の声、スタッフ紹介、店内写真 |
同じAI画像でも、お客さんがどこまで進んでいるかで結果が変わります
料理の写真をAIにすると、見た人の気持ちが冷める
「決める段階に置くと逆に働く」を、手元で1つ確かめました。
知人の女性14人に、飲食店の商品画像としてAIで作った料理の画像を見てもらい、この店に入りたいと思うかを聞きました。 結果は、14人中11人が入りたくないという答えでした(知人14人に聞いたもので、統計として成立する数ではありません。方向が分かるだけの調査です)。
数字より、返ってきた言葉のほうが使えました。
うそくさそうで、あまり行きたくない
おいしそうかどうか以前に、この料理が本当に出てくるのか分からない
味の評価ではなく、信じられるかどうかで止まっていました。
料理の写真は、飲食店にとってメニューそのものです。読み物の挿絵ではなく、注文するかどうかを決める材料になっています。だから商品・料理の写真は、店内やスタッフと同じく実写しかありません。
AIを使ってよい場面と、実写で用意したほうがいい場面

| 用途 | AI画像 | 理由 |
|---|---|---|
| 図解・概念図・手順の可視化 | 使える | 実物が存在しない。伝わることが目的 |
| 記事のアイキャッチ・背景・装飾 | 使える | 事実を示していない |
| イメージイラスト(人物が特定されない) | 使える | ただし多用すると「AIっぽさ」が出る |
| 商品・料理・メニューの写真 | 実写のみ | 買うもの・食べるものそのもの。違えば手元に届いたときに分かる |
| 店内・外観・設備 | 実写のみ | 実物がある。違えば来店時に分かる |
| スタッフ・施術者・担当者 | 実写のみ | 実在の人物を示すため |
| 施工事例・実績・ビフォーアフター | 実写のみ | 事実の提示。AIは優良誤認になる |
| お客様の声・利用者の写真 | 実写のみ | 実在しない体験の提示は不当表示 |
判断の軸は「そこに実物が存在するか」です。存在するものをAIで描くと、見抜かれたときに嘘になります。
広告ではワークする。実際にAI画像のほうが跳ねることもある
広告のクリエイティブでは、AI画像は素直にワークします。 当社(アドキタ)で運用している広告でも、AIで作った画像のほうが実写より反応が良かったものがあります。
理由は、出来のよさではなく枚数を出せることです。反応する画像は事前には分かりません。だから当てにいくのではなく、当たりを探す回数を増やすほうが早く着きます。撮影が要る画像は1案あたりの用意に時間がかかり、その時点で試せる案が減ります。AI画像なら、同じ時間で構図・色・言葉の入れ方を何通りも試せます。
ここで分かるのは、見てもらう部分と、信頼してもらう部分は別物だということです。広告は前者で、サイトの実績や商品写真は後者です。同じ「画像」でも、求められているものが違います。
- AI画像で案を複数出し、同じ条件で回す
- 反応が出た案の何が効いたか(構図・色・言葉)を見る
- 効いた型が分かったら、その型で実写を用意する
- 実写と入れ替えて、反応が落ちないかを見る
3番が要点です。当たりを探す段階はAIで回して、当たった型を実写に置き換える。ここまでやると、他社が同じ型を真似ようとしても、同じ画像は用意できません。
安く作れる画像は、競合も同じように使っている
AI画像は安く早く作れます。これは強みですが、同時に競合も同じ条件で作れるということです。誰でも用意できるものは、差にはなりません。
差になるのは、その会社にしか撮れない画像です。店内、スタッフ、実際の作業、施工の前と後。これらは撮った分だけそのまま残り、AIでは埋められない場所が1枚ずつ埋まっていきます。
| AI画像 | 実写 | |
|---|---|---|
| 1枚あたりの手間 | ほぼゼロ | 撮影の時間が要る |
| 競合が同じものを持てるか | 持てる | 持てない |
| 使える場所 | 目を引く段階・説明する段階 | すべての段階で使える |
| 時間が経つと | 増えても差にならない | 枚数がそのまま差になる |
かかるものと、残るものが逆になっています
守ることは3つ
法律とプラットフォームの側にも決まりがあります。細かい要件は下の注記にまとめました。判断が変わるのは次の3つだけです。
- 商用利用の可否は、使ったツールの規約で決まる。 一律の答えはありません。規約は改定されるので、確認した日付とセットで記録してください
- 著作権は、まだ判断が固まっていない。 文化庁は令和6年3月と7月に考え方を公表していますが、公表の背景として判例・裁判例の蓄積がないことを挙げています。「これは大丈夫」と断定できる段階ではないので、特定の作品・作家・キャラクターに寄った出力は使わない、で運用します
- 開示はサイト全般では義務ではない。 ただしECは別で、Google Merchant Center に出す場合はメタデータが必要です
大量に並べるとスパム扱いになる
Googleは、生成AIツールを使ってユーザーにとっての価値を付加することなく大量のページを生成すると、大量生成コンテンツの不正使用に関するスパムポリシー違反になり得る、としています。
これは画像にも当てはまります。AI画像で水増ししたページを量産すると、ページ単位で評価が下がります。加えてGoogleは、画像の代替テキストを含むメタデータについても正確性・品質・関連性を優先するよう求めています。AI画像を置くなら、altにはその画像が何を示しているかを書いてください。
画像以外でのAIの線引き、たとえば商品名の案をAIに出させてどこまで使うかは商品名の決め方。
使う前の確認項目
- そこに実物が存在しないか(存在するなら実写を使う)
- お客さんが「頼むかどうかを決める場所」に置いていない
- 商品・料理・メニューの写真に使っていない
- 実績・事例・お客様の声・スタッフの画像に使っていない
- 使ったツールの規約で商用利用が認められている(確認日を記録した)
- 特定の作品・作家・キャラクターに似た出力になっていない
- ECに出品する場合、IPTCのメタデータが残っている
- altに「その画像が何を示しているか」を書いた
- 同じページにAI画像を並べすぎていない
今日やること
自社サイトを上から開いて、実物があるのにAI画像や素材写真になっている場所を数えてください。 見るのは4か所だけです。
- 実績・事例・ビフォーアフター
- お客様の声に添えた写真
- スタッフ紹介
- 商品・料理・店内
1つでも当てはまったら、そこが最初に差し替える場所です。全部を撮り直す必要はありません。 1枚ずつ実写に替えるたびに、他社が用意できない画像が1枚増えます。
撮り方は問いません。スマホで、明るい窓際で撮るだけで足ります。
広告のクリエイティブとサイトの画像をまとめて見直すなら、当社の広告運用(アドキタ)では、どの画像が成果につながっているかを計測したうえで差し替えの優先順位を決めています。





