結論

広告は、成果が合わなければ止まります。回し続けるかぎり毎日お金が出ていくからです。だからこの記事は、こう置いて読みます。

  • 90日以上回り続けている広告=効果が出ている広告(出し続けるだけの成果が返っている)
  • 7日以内に消えた広告=効率が悪かった広告(1週間で見切りがついた)

その前提で日本語広告367社を比べると、長く回っている側の広告文には数字が入っていました。長寿80%に対して、短命49%。差は31ポイントです。

一方で、よく勧められる次の3つには、差が出ませんでした。

  • 問いかけ(「〜でお悩みではありませんか?」) — 長寿23%・短命22%で、ほぼ同じ
  • カギ括弧で語を強調する — むしろ短命側にわずかに多い(31%・39%)
  • 動画にすること — 長寿10%・短命5%。差があるとは言えませんでした

さらに、「広告文は短く」もこの調査では逆でした。本文が100字以上ある広告は、長寿90%・短命68%です。

つまり、広告文で先に手を入れるべきは表現の工夫ではなく、書ける数字を持っているかどうかです。

この記事の数字がどこから来ているか

自社で運用している広告収集の基盤に、Meta(Facebook・Instagram)で配信された広告が蓄積されています。そこから日本語の広告だけを取り出して比べました。同じ基盤で、媒体ごとに動画と静止画のどちらが使われているかを数えたのが動画と静止画、どちらで出すか

  1. 蓄積分から、ひらがな・カタカナを3文字以上含む広告 1,397件を抜き出す(漢字だけだと中国語の広告が混ざるため)
  2. 配信が確認できた期間で2つに分ける。90日以上=長寿/7日以内=短命
  3. 同じ広告主が偏らないよう、広告主ごとに1本だけを残す(長寿118社・短命249社。両方に入った広告主は1社のみ)
  4. 広告文(見出し+本文)に、何が書かれているかを機械的に数える
  5. 差が偶然の範囲かどうかを、95%信頼区間で確認する

分けてみて分かったことがもう1つあります。日本語広告1,397件のうち、7日以内に消えたものが876件(63%)ありました。広告の大半は短命です。ここで比べているのは、その中で3か月以上残った少数派と、1週間で消えた多数派ということになります。

もちろん、季節商品が売り切れた・予算が尽きた、という理由で止まる広告もあります。ただしそれは長寿側にも短命側にも同じように混ざるので、両者の差を打ち消す向きに働きます。ここで出ている差は、その分を含んでなお残った差です。

費用が毎日かかる媒体で3か月以上残っている広告と、1週間で消えた広告。この2つを分けているものを、文面から探します。

差が出た要素

まず、差がはっきり出た11項目です。差の大きい順に並べています。

書ける数字は価格だけではない。効くのは種類ではなく数字の有無。時間の例は60分、回数の例は月2回、年数の例は創業12年、件数の例は1,200件、期間の例は3ヵ月。価格以外にも書ける数字はたくさんある。まずは自店で言い切れる数字を3つ書き出そう。
差がついているのは数字の種類ではなく、数字が入っているかどうかです

90日以上回っている 118社7日以内に消えた 249社

数字が入っている+31pt

80%
49%

95%信頼区間 +21〜+40pt

【】で囲った語がある+29pt

44%
15%

95%信頼区間 +19〜+39pt

本文が100字以上ある+22pt

90%
68%

95%信頼区間 +14〜+30pt

価格(◯◯円)+16pt

21%
5%

95%信頼区間 +8〜+24pt

感嘆符(!)+15pt

65%
50%

95%信頼区間 +5〜+26pt

回数・日数(3回・30日など)+13pt

27%
14%

95%信頼区間 +4〜+23pt

割引(%・OFF)+13pt

18%
5%

95%信頼区間 +6〜+20pt

絵文字+12pt

50%
38%

95%信頼区間 +1〜+23pt

「無料」+8pt

19%
11%

95%信頼区間 +1〜+17pt

「限定」「今だけ」+9pt

15%
6%

95%信頼区間 +2〜+16pt

実績(◯人・◯店舗)+8pt

10%
2%

95%信頼区間 +2〜+14pt

日本語広告367社の文面比較(2026-08-29集計)。棒の長さは、その群のうち何%に入っていたか。95%信頼区間がゼロをまたがないものだけを載せています

数字関連の項目が上位に並びました。しかも種類を問いません。価格でも、回数でも、割引率でも、実績の人数でも、入っている側が長く回っています。

差が出なかった要素

この調査でいちばん実務に効くのは、ここから先です。「やったほうがいい」と言われている工夫のうち、どれが効いていないかが分かります。

差がないのは「問いかけ」と「」。問いかけ(?)は長寿23%に対して短命22%でほぼ同じ。カギ括弧「」は長寿31%に対して短命39%で、ここも差は小さい。見るべきは別の要素で、差がつくのは数字と【】。見直すなら数字を1つ増やす。数字ありは長寿80%に対して短命49%で、差は+31pt。
よく勧められる2つは差がつきません。見直すなら、数字を1つ増やすほうです

90日以上回っている 118社7日以内に消えた 249社

問いかけ(?で終わる文)差なし

23%
22%

95%信頼区間 −9〜+10pt

カギ括弧「」で強調差なし

31%
39%

95%信頼区間 −18〜+2pt

動画である(静止画ではない)差なし

10%
5%

95%信頼区間 −1〜+11pt

信頼区間がゼロをまたぐため、差があるとは言えなかった要素。棒の長さがほぼ揃っているものは、長く回るかどうかと関係していません

問いかけの見出しは、広告の書き方としてよく勧められます。「こんなお悩みありませんか?」という型です。この調査では、長く回っている広告にも、すぐ消えた広告にも、同じ割合で入っていました。

だからといって問いかけが悪いわけではありません。差が出ないということは、そこで勝負が決まっていないということです。問いかけの文言を練り直す時間があるなら、書ける数字を1つ増やすほうに使ったほうが、この数字を見る限りは分がいいと言えます。

【】が2番目に大きい差だったことをどう読むか

【】で囲った語の有無は、差が29ポイントありました。数字に次ぐ大きさです。

これは装飾が効いているというより、【】を使う広告は最初の2〜3文字で対象や条件を宣言している、と読むほうが自然です。【初心者歓迎】【新宿】【公式】のように、誰向けか・どこか・何者かが冒頭に来ます。スマホの画面では広告文の先頭しか見えないので、そこで自分向けかどうかが分かる形になっています。

「短く簡潔に」が効いているわけではない

広告文は短くしたほうがいい、とよく言われます。この調査ではそうなりませんでした。

長寿118社短命249社
本文の長さ(中央値)227字180字
本文が100字以上90%68%+22pt
本文が200字以上55%43%+12pt
見出しの長さ(中央値)23字20字

広告文の長さ(本文=見出しの下に続く文章)

長く回っている広告のほうが、本文が長いです。 ただし、いくらでも長ければよいわけではありません。業種の構成を揃えて計算し直すと、100字以上の差は+19ポイントで残るのに対し、200字以上の差は消えます(+4pt・信頼区間が0をまたぐ)。

分かれ目は100字を超えているかどうかで、そこから先を伸ばしても差は出ていません。100字はスマホの画面で3〜4行です。商品名と価格だけを置いた1行の広告文は、この調査では短命側に多く現れました。

見出しの長さは、長寿・短命とも中央値20字前後で差がありませんでした。長さで気にするのは本文のほうです。

自社の広告文に落とす

ここまでの結果を、広告を出す前の確認に落とすとこうなります。

広告文を出す前に確認する
  • 広告文のどこかに数字が入っている(価格・回数・時間・年数・件数のいずれか)
  • その数字の根拠を、聞かれたら出せる
  • 先頭の10文字で、誰向けの広告か分かる
  • 問いかけだけで終わっていない(問いかけの後に、数字か具体が続いている)
  • 「限定」「今だけ」を書いたなら、その条件と期限が本当にある
  • リンク先のページに、広告文と同じ言葉と同じ数字が書かれている

最後の項目が抜けやすいところです。広告で「初回3,300円」と言ったのに、リンク先の最初の画面に価格がない、という状態が実際に起きています。別の調査では、広告のリンク先ページで価格が最初の画面に出ているのは44%でした。

同じ「長く回っているかどうか」でリンク先を比べた調査もあります。続いている広告のリンク先は何が違うかでは、広告文ではなくページ側で差がついた項目を出しています。

同じことは自分でもできます

Meta広告ライブラリは誰でも検索でき、競合が今どんな広告文で出しているかを見られます。長く出ている広告を10本書き出して、数字が入っているかを数えるだけでも傾向はつかめます。自分の業種で数えれば、この記事の割合より確かな基準になります。

今日やること

自社の今の広告文を開いて、数字が入っているかどうかだけ確認してください。入っていなければ、言い切れる数字を1つ足します。価格が出せないなら、時間・回数・年数・件数のどれかです。

そのうえで、リンク先の最初の画面に同じ数字があるかを見てください。広告とページで数字が食い違っていると、せっかく来た人がそこで止まります。