結論

商品を広めるには、まず「誰に使ってほしいか」「なぜ選ばれるのか」「人に話したくなる特徴は何か」をはっきりさせます。次に、商品の良さが伝わるページを用意し、実際の反応を見ながら知ってもらう機会を増やしていきます。

「いい商品なのに、なかなか知られない」「SNSに投稿しているけど、売上につながらない」。そんなとき、投稿の回数だけを増やしても、変わらないことがあります。

そのうえで、広告費を回収でき、利益が残る販売モデルを作る。ただ話題になればいいのではなく、売れたときに利益が積み上がる形を先に整えます。

そこから商品を広める流れは、次の5つです。

  1. コンセプトと選ばれる理由を決める
  2. 商品の良さが伝わるページや動画を作る
  3. 思わず話したくなるネタを用意する
  4. インフルエンサーに紹介してもらう
  5. メディアに情報を届ける

一気にブームを起こすための必勝法ではありません。商品を知った人が、その良さを理解し、「欲しい」「誰かに伝えたい」と思えるように準備をそろえていきます。

商品を広める前に、利益が残る形を作る

もし明日、注文が10倍になったら。うれしい話ですが、それで利益も増えるでしょうか。

新しくビジネスを作るなら、まず見ておきたいのは次の3点です。

  • 利益率が高い:売上に対して、利益が多く残る
  • 初期投資が小さい:始める前に大きな支出を抱えない
  • ランニングコストが低い:毎月必ず出ていくお金が少ない

この3つがそろうと、小さく始めて、反応を見ながら改善を重ねやすくなります。

もちろん、この3つに当てはまらなくても、うまくいくビジネスはあります。設備や店舗が必要な商売もあります。ただ、必要な資金や、投資を回収するまでの時間は変わってきます。

広告で売れることと、広告費を回収できることは別

使える広告費は、売上だけで決めない。売上5,000円 − 1件ごとの費用2,000円 = 広告費を引く前の残り3,000円。ここから広告費と固定費を引く。※説明用の仮の数字。
3,000円は、広告費を引く前の金額です。ここから広告費と固定費を引いた残りが利益になります。

たとえば、5,000円の商品を売るとします。これは説明用の仮の数字です。

材料費・仕入れ・梱包・配送・決済手数料など、1件売れるごとにかかる費用が2,000円なら、広告費を引く前に残るのは3,000円

1件の注文を得るために広告費を3,000円使うと、家賃や毎月の人件費を支払うお金も、利益も残りません。

つまり、「5,000円売れたから、広告費も5,000円まで使える」とは考えないことです。

見るのは、売上から、商品を届けるまでにかかる費用を引いた金額です。さらに固定費や残したい利益を考えて、1件の注文を得るために使える広告費を決めます。

リピート購入がある商品なら、初回だけでなく2回目以降の購入分まで含めて考える方法もあります。ただし、まだ起きていないリピートを期待だけで計算に入れると危険です。

実際にもう一度買ってくれる人の割合と、広告費の回収にかかる時間を確かめます。それまで資金が持つかも確認しておきましょう。

注文が増えるほど赤字も増える形では、広めるほど苦しくなります。先に「売れるほど利益が残る仕組み」にしておきましょう。

採算の見通しが立ったら、次は「今、買ってみよう」と思える企画です。試食会や季節のセットなど、集客キャンペーンの4つの企画例で、値引き以外の誘い方も具体的に紹介しています。

ステップ1:人に話したくなるコンセプトとUSPを決める

「うちの商品、機能はいいんです」。それは大切です。でも、その良さは初めて見る人にも伝わるでしょうか。友人に話すとしたら、どんな言葉で紹介してくれそうですか。

珍しいだけでは、広まらない。目新しい + 欲しくなる理由がある + ひと言で伝わる。
珍しさに加えて、欲しくなる理由と、ひと言で伝わるわかりやすさを考えます。

コンセプトを考えるときは、次の3つを確認します。

  • 目新しさがある:今までのものとの違いがわかる
  • 欲しくなる理由がある:悩みを解決できる、憧れの暮らしに近づける
  • ひと言で伝わる:専門知識がなくても、何がいいのかわかる

この3つは、人に紹介したくなる商品かどうかを考えるためのチェックポイントです。売れるかどうかは、価格や販売方法などにも左右されます。

珍しいだけでは、欲しくならない

たとえば「逆立ちをしながら楽に歩ける機械」があったら、たしかに珍しいですよね。

でも、そもそも逆立ちで歩きたい人が少なければ、欲しいとは思ってもらいにくい。驚いてもらうことと、買ってもらうことは別です。

反対に、役立つ商品でも、説明が専門用語ばかりだと、聞いた人は友人に紹介しにくくなります。

「これ、○○な人にいいらしいよ」。そんなふうに、普段の会話で紹介できる言い方を考えます。

USPは、強みを全部並べることではない

USPを決めようとして、「高品質・低価格・丁寧な対応」と書きたくなるかもしれません。でも、それだけでは、ほかの商品との違いが見えません。

「誰にとって、ほかの商品と何が違うのか」を具体的にします。まずは、使う人にどんな良さがあるのかを書き出してみましょう。次は説明用の架空の例です。

商品の例伝えたい良さ
冷凍弁当夕食を作る時間がない一人暮らしの人でも、温めるだけで一食分を用意できる
バッグ雨の日の自転車通勤で、書類を濡らさず運べる
予約サービス一人でサロンを営む人でも、施術中や営業時間外に予約を受け付けられる

ただし、便利なだけでは「ほかにはない強み」とは言えません。同じ特徴を持つ商品がないか、対象者・使い方・提供条件を比べてみます。違いが見つかったら、お客さんにとってどんな良さがあるのかまで言葉にします。

名前の決め方で迷っている場合は、商品名の候補を出し、人の反応を確かめる手順も参考になります。響きだけで名前を選ぶより、何を伝えたいかを決めてから考えるほうが、候補を選びやすくなります。

ステップ2・3:伝わるページと、話したくなるネタを用意する

誰かの投稿で気になった商品を検索したのに、何がいいのかわからない。そんな経験はありませんか。興味を持ってくれた人が、商品の良さや買い方を調べられるページも用意しておきます。

ステップ2:商品がひと目でわかるページを作る

商品の紹介には、自社のブログや商品ページ、短い動画などが使えます。大事なのは、初めて見る人が迷わず理解できることです。

最低限、次の5つがわかるようにします。

紹介ページに載せたい5つ
  • 何の商品なのか
  • どんな人に向いているのか
  • ほかと何が違うのか
  • 使うと、何がどう変わるのか
  • どこで買ったり、試したりできるのか

たとえば自転車通勤向けのバッグなら、素材名を並べるだけでなく、通勤時の使い方や書類の収納例を見せる。購入前に知りたいサイズ、価格、配送条件も、同じページで確認できるようにします。

何を載せるか迷う場合は、広告のリンク先45ページで、価格・連絡手段などを確認した記事も参考になります。そこに載っている情報と、自社のページに載せている情報を比べてみてください。

長い説明が必要とは限りません。「説明するより、このページを送ったほうが早い」と思えるものがあると、紹介する側の手間を減らせます。

ここで作るのは、商品を理解してもらうための情報です。自社が作ったページを、無関係な第三者の口コミサイトのように見せる必要はありません。誰が発信しているかも、わかる形にしておきます。

ステップ3:「何これ?」から「なるほど」につながるネタを用意する

注目から、口コミへ。『何これ?』で目に留まる → 『なるほど』と商品の良さがわかる → 『誰かに教えたい』と人に話したくなる。
目に留まる見せ方と、商品の良さが伝わる説明を組み合わせます。

作り手は、毎日商品のことを考えています。でも、見る人が最初から商品に関心を持っているとは限りません。なんとなくスマホを眺めている人にも、まず目を留めてもらう必要があります。

そのきっかけになるのが、想像とのギャップです。

  • 普通は手間がかかることが、こんなに簡単にできる
  • 意外な人や場所で、この商品が使われている
  • よくある悩みに、そんな解決の仕方があった

たとえばバッグの紹介なら、見た目の写真だけでなく、「こんなに薄いバッグに、通勤の荷物がどれだけ入る?」と、実際に荷物を入れる短い動画にする。どれだけ入るかを、見てわかる形で伝えます。

もちろん、入らないものを入るように見せたり、条件を隠した実演をしたりしてはいけません。大げさにするのではなく、本当にある特徴の見せ方を変えるということです。

「何これ?」で止まるだけなら、一瞬の注目です。そのあとに「なるほど、こういう人に便利なんだ」と納得できて、初めて「誰かに教えたい」につながります。

写真、動画、見出し、実演。どれを使うにしても、驚きと商品の良さがつながっているかを見てください。

ステップ4・5:最初の反応を作り、メディアに届ける

紹介ページができても、見つけてもらえなければ始まりません。次は、誰に最初に知ってもらうかを考えます。

ステップ4:商品と相性のよいインフルエンサーに届ける

最初に商品を知ってもらう方法のひとつが、インフルエンサーに紹介を依頼することです。依頼する相手を選ぶときに見るのは、フォロワー数だけではありません

  • 投稿を見ている人と、商品を使ってほしい人が合っているか
  • 普段の発信内容に合った商品か
  • 実際に使い、自分の言葉で説明してもらえるか

一人暮らし向けの冷凍弁当なら、ただ知名度の高い人より、忙しい日の食事や一人暮らしの生活を発信している人のほうが、紹介する場面を考えやすいでしょう。

依頼時は「自由に紹介してください」だけで終わらせず、誰向けの商品か、伝えてほしい事実、試してほしい使い方を共有します。

一方で、使っていないのに使ったかのような感想を書いてもらったり、良い評価をするよう求めたりするのは避けます。

個人的なつながりがあれば相談はしやすくなりますが、料金が安くなるとは限りません。投稿の内容に加えて、画像や動画を自社の広告にも使ってよいか、公開前に何を確認するかまで、依頼条件を整理して相談します。

また、広告やPRとして依頼する投稿には、そのことが読者にわかる表示を入れてもらいます。自然に伝えることと、広告であることを隠すことは別です。表示の考え方は、消費者庁のQ&Aで確認できます。

最初は予算と依頼する人数を絞って試します。どんな質問が寄せられたか、紹介ページに何人が来たか、購入につながったかを確認してみてください。

「何が伝わり、どこで止まったのか」がわかると、次の投稿や紹介ページで直すところが見えてきます。

すでに商品を気に入っているお客さんとの関係を深めるなら、アンバサダーマーケティングの始め方。有名な人に一度紹介してもらう以外にも、商品を広める方法はあります。

ステップ5:メディアが判断できる材料をそろえる

小さな反応が見えてきたら、プレスリリースなどでメディアに情報を届けます。PR TIMESのような配信サービスも、そのための手段です。

メディアへの情報提供は、インフルエンサーへの依頼と並行して進めても構いません。発売日に合わせて知らせたいことがあるなら、早めに準備しておきます。ただ、商品の説明や実際の反応がそろっていると、伝えられる内容も具体的になります。

「新商品を出したので、紹介してください」だけでは、媒体の読者にとって何が面白いのか伝わりません。次の問いに答える形で整理します。

  • 何が新しいのか
  • 誰の、どんな困りごとに関係するのか
  • なぜ今、この話を届けるのか
  • 実際に、どんな反応があったのか

自社の紹介ページ、商品の写真、使い方の動画、掲載許可を得た利用者の声。こうした材料を、担当者が短時間で確かめられるようにまとめます。

まだ利用者の声がないなら、無理に作る必要はありません。商品の仕様や開発の背景など、今ある事実から伝えます。利用者数や調査結果を書くときは、対象や集計期間も添えます。

プレスリリースを送れば記事になるわけではありません。大切なのは、取り上げる理由と、判断に必要な材料を届けることです。商品と関係の薄い媒体へ同じ文面を大量に送るより、その商品に関心を持ちそうな読者がいる媒体を選びます。

口コミを、一時的な注目で終わらせない

商品名が話題になって、検索されたり、友人同士の会話に出てきたりする。そんな状態はうれしいですよね。でも、目指したいのは、話題になることだけではありません。

コンセプトとUSPを決め、利益が残る形を作る。そのうえで、商品の良さが伝わるページと、人に話したくなるネタを用意します。インフルエンサーやメディアにも、その良さが伝わる情報を届けていきます。

うまく進まないときは、最初から全部やり直す必要はありません。

止まっているのは、どこ?
  • 知られていないなら、最初に届ける相手や場所を見る
  • 見られているのに伝わらないなら、説明や見せ方を見る
  • 興味は持たれるのに買われないなら、価格・条件・購入までの手順を見る
  • 売れても利益が残らないなら、原価や広告費、販売モデルを見る

人に話したくなる理由と、買いたくなる理由。その両方を用意することが、注目をビジネスにつなげる土台になります。