結論
集客キャンペーンは、お客様が「今、行ってみよう」と思える理由から考えると、企画の中身を決めやすくなります。
「何かイベントをやりたい。でも、結局いつも割引になる」。そんなときに使えるのが、固定客向けイベント、季節の企画、リニューアル、特別価格の4つです。
たとえば、いつも通うパン屋から「全品10%オフ」と届くのと、「次の看板パン、決めるのはあなたです」と届くのとでは、気になるところが違いますよね。
前者は安く買える案内。後者は、まだ売っていないパンを食べて、お店づくりに参加できる案内です。値段だけでなく、体験の中身も誘う理由にできます。
| 目的 | 企画の候補 |
|---|---|
| 常連の再来店 | 固定客向けイベント |
| 季節の使い方を提案 | 季節の企画 |
| 新商品の体験 | リニューアル企画 |
| 初めての購入 | 特別価格・お試し商品 |
お店の目的から、企画の候補を絞る
この4つを、パン屋・惣菜店・料理教室・コーヒー通販の企画例で見ていきます。全部やる必要はありません。「これなら自分のお店でもできそう」というものを一つ選んでください。
1.固定客向けイベントは「いつも来る人の楽しみ」を作る
常連のお客様を誘うときも、初めての人と同じ案内を送っていませんか。
すでに商品やお店を知っている人には、「うちの商品はこんなものです」という説明より、もう一度来る楽しみを用意するほうが、企画の狙いがはっきりします。
ファン感謝祭、新年の企画、購入者向けの使い方講座。大きな会場を借りなくても、普段の営業の中でできることはあります。
パン屋なら「次の看板パン、決めるのはあなたです」
たとえば、新しいカレーパンを考えているパン屋。店内だけで味を決める代わりに、常連のお客様に「開発会議」へ参加してもらう企画です。
- 食べる:甘口・スパイス多め・チーズ入りの3種類を、小さなサイズで食べ比べる。
- 選ぶ:「朝に食べたい」「家族に買って帰りたい」など、選んだ理由と一緒に投票する。
- 続きを楽しむ:後日、採用した味とその理由を店頭で発表する。
これなら、試食して終わりではありません。お客様には「あのパン、どうなったかな」と、次にお店をのぞく理由もできます。
予約ページでは、日時や料金を見て、人数を選び、申し込めるようにします。食べ物なら原材料やアレルギーの情報も、申し込む前に確認できる位置へ。
投票だけで商品化を決められないなら、「一番人気を必ず発売」とは書きません。感想をどう商品づくりに使うのかを伝えれば、無理な約束をせずに参加してもらえます。
別の業種なら「買ったあと」に楽しみを足す
- 雑貨店:「眠っている革靴、持ってきてください」。購入した靴を一緒に磨き、自宅でもできる手入れを覚える会。
- 写真教室:「撮ったままの一枚を、飾りたい一枚に」。受講後の写真を持ち寄り、講師と構図や明るさを見直す会。
単なる「購入者限定」ではなく、買ったものを、もっと楽しめる時間にするわけです。毎月開催にこだわらず、準備と接客を続けられる間隔から始めましょう。
参加人数に加え、その後の再来店や質問も残すと、次の企画に使えます。購入後の関係づくりは満足を紹介や再来店につなげる方法でも紹介しています。
2.季節の企画は「行事名」より「使う場面」で考える
クリスマスやハロウィン、お正月。毎年ある行事は、キャンペーンを始めるきっかけとして使えます。ただ、名前を付け替えただけのセールになっていませんか。
お客様が欲しいのは、「季節のキャンペーン」という名前ではなく、その時期の予定や困りごとに合うものです。

惣菜店なら「年末の一食、もう考えなくていいセット」
大掃除も買い出しも終わらない。夕食まで考える余裕がない。そんな家族向けに、惣菜店が予約セットを用意するとしたらどうでしょう。
たとえば、主菜は煮込みハンバーグ、副菜はポテトサラダと野菜のマリネ。3人分をまとめ、受け取り時間を選べる形にします。冷蔵で渡すなら、温め方と消費期限も一緒に伝えます。
売りたいのは「惣菜3品」ですが、お客様がうれしいのは、献立を考えず、買い回らずに、一食を用意できることです。
写真も、容器が3つ並んでいるだけより、食卓に盛り付けた様子を見せると、量や使い方を想像できます。「何人分?」「温めるの?」「いつ受け取れる?」に先回りして答えるのがコツです。
同じ年末でも、帰省の手土産なら、持ち運びやすさや日持ちが大切。贈り物なら、包装や届けられる日が気になります。行事が同じでも、使う場面が違えば企画も変わります。
告知する日より、欲しくなる日から逆算する
当日に使う商品なら、必要なのは当日の盛り上がりより、その前に予約や配送が間に合うことです。
この惣菜セットなら、「受け取り日を決める → 仕込みに必要な日数から予約締め切りを決める → 告知する」の順です。店頭とネットの日付が食い違っていないかも確認します。
春なら、花屋の「送別会の帰り道でも持ちやすい、小さな花束」。夏なら、喫茶店の「家でも作れるアイスコーヒー教室」。季節の名前ではなく、その時期にしたいことから考えると、値引き以外の企画が見つかります。
時事の話題を使う場合も、話題になっているという理由だけで便乗しないこと。自店の商品とのつながりを、お客様にひと言で説明できるものを選びます。
季節企画を毎年行うなら、使った写真や案内文に加え、「いつ予約が入り始めたか」も残しておくと、翌年の準備に役立ちます。
3.リニューアルは「何が変わって、どう便利になったか」を伝える
商品を改良したのに、「リニューアルしました」の一文で終わっていませんか。
お店にとっては大きな変更でも、お客様は以前との違いを知らないかもしれません。変更点を、お客様にとっての良さへ言い換えるところまでが告知です。
たとえば、次のように書き分けます。
| 変更したこと | お客様に伝える良さ |
|---|---|
| 商品を小分けにした | 一度に食べ切らず、必要な分だけ使える |
| 予約方法を変えた | 営業時間外でも予約を申し込める |
| 講座に質問会を追加した | 習ったあとに困ったところを聞ける |
実際に提供できる変更点だけを伝える
見た目の変更と使い勝手の変更を、全部同じ大きさで並べる必要はありません。今回いちばん伝えたい良さを一つ選び、その違いが分かる写真や説明を置きます。
料理教室なら「見るだけのレッスンを卒業する体験会」
たとえば、先生の実演を見る形式から、一人ずつ調理する形式へ変えた料理教室。「授業形式をリニューアル」だけでは、お客様に何がうれしいのか伝わりにくいですよね。
そこで、新しい形式でオムレツを作る、単発の体験会にしてみます。
- まず自分で焼く:卵を入れるタイミングや、火を止めるところまで、一人ずつ試す。
- 困ったところで聞く:「巻けない」「火が入りすぎる」を、その場で先生に見てもらう。
- 家で再現する準備をする:使った火加減や道具、自分がつまずいた点をメモして持ち帰る。
告知の主役は、教室の変更ではなく「家で作ると、なぜかうまくいかない」をその場で聞けることです。
この例なら、先生一人で何人の調理を見られるかが定員の基準になります。予約を増やすために人数を詰め込んで、肝心の質問ができなくなったら逆効果です。
以前の商品を知っている人の疑問にも答える
写真や説明は、変更点を全部並べるより「どこがどう良くなったか」が見えるものを一つ。小分け包装への変更なら、冷凍庫から一食分だけ取り出す場面も使えます。
購入済みのお客様には、今の商品をそのまま使えるのか、新しい付属品だけ買えるのかも伝えます。教室なら、受講中の人の料金や振替がどうなるか。「新しいほうが良いですよ」だけで、今のお客様を置いていかないことです。
変更点を並べても良さが伝わらないときは、企画名より商品説明の見直しが先です。商品コンセプトとUSPの決め方に沿って、「誰の何が良くなるか」を短く言葉にしてみてください。
4.特別価格は、値引きの幅より「試しやすさ」を考える
反応が欲しくなると、最初に「何%引きにするか」を考えてしまいませんか。
値下げも企画の一つです。ただし、初めての人が迷う理由は、価格だけとは限りません。量が多い、種類を選べない、送料を含めた金額が分からない。こうした迷いは、割引だけでは残ります。

アドキタの支援でも、最初に買う商品の形を見直した
当社が支援した新吉製麺所の事例では、初めての人が試しやすい入口商品を設計し、購入後のLINE・メルマガによる案内まで整えました。
コーヒー通販なら「好みを見つける3つの飲み比べ」
ここからは、コーヒー通販を想定した企画例です。豆が何種類も並んでいるけれど、初めての人には違いが分からない。そんなとき、全商品を安くしても「どれを選ぶか」の迷いは残ります。
そこで、すっきり・バランス・深いコクの3種類を、ドリップバッグ2袋ずつに。専用の器具なしで6杯試せるセットにして、味のメモカードを添えます。
「人気商品をお得に」ではなく、「まずは6杯。好きな味を見つけてください」。
この案内なら、買ったあとに何をするかまで浮かびます。商品ページにも「器具は必要?」「何杯分?」「送料込みでいくら?」への答えを置きます。
飲み比べたあとは、カードにある商品名から、気に入った味を買えるようにします。案内の受け取りに同意した人へ送るなら、「もう一度買ってください」より「どの味が好みでしたか。次はその味だけ選べます」のほうが、体験の続きになります。
食品以外なら、文具店の「書き味で選ぶ、3種類のペンセット」も同じ考え方です。最初の購入で好みを確かめられる形にします。量・価格・送料の整理は入口商品の作り方で確認できます。
何件売れたら、費用をまかなえるかも決める
企画を出す前に、販売価格から、商品原価・梱包・送料の負担・決済手数料など、1件ごとに増える費用を引きます。その残りで、企画の準備費や広告費をまかなえるかを見ます。
仮に、販売価格3,000円、1件ごとの費用2,000円なら、残りは1,000円です。同じ商品を500円引きにすると、残るのは500円になります。
| 見る数字 | 金額・件数 |
|---|---|
| 3,000円で販売 | 1件あたり1,000円残る |
| 500円引きで販売 | 1件あたり500円残る |
| 準備費2万円をまかなう件数 | 値引きなし20件/値引きあり40件 |
仮の計算例。1件ごとの費用が変わらない場合
値引きは500円でも、残る金額は半分。企画専用の準備費2万円をまかなうには、販売件数が2倍必要です。さらに広告費や追加の人件費がかかれば、その分も含めます。
普段買っていた人が割引商品へ移っただけなら、販売件数が増えても、利益が減ることがあります。新規のお客様が増えたのか、いつもの購入が置き換わったのかも分けて確認しましょう。
案内には、対象商品、期間、価格、利用条件をまとめます。送料や参加費など、別にかかる費用がある場合も、申し込み前に分かる位置へ置きます。
企画を決めたら、告知から申し込みまでをつなぐ
よさそうな企画ができても、案内を見た人が「どこで申し込むの?」となっていませんか。
写真やコピーの前に、案内を見てから参加するまでの流れを、一度お客様と同じ順番でたどってみてください。
当社がMeta広告のリンク先45本を調べた際、店舗・クリニック型16本のうち、11本にキャンペーンの記載がありました。これは掲載状況の調査で、キャンペーンの効果を示す数字ではありません。何を載せるかの点検には、広告のリンク先ページの自社調査が使えます。
準備する順番を決める
- 誰に、何をしてほしいかを決める:初めての購入、常連の再来店、新商品の体験など、今回の目的を一つにする。
- 内容と条件をまとめる:日時、場所、料金、対象、定員、予約方法を一つの案内にそろえる。
- 参加方法を試す:自分のスマホからリンクを開き、予約や購入まで迷わず進めるか確認する。
- 相手に合う場所で知らせる:常連には受け取りに同意しているLINEやメール、新規には店頭・SNS・広告など、対象に合う方法を選ぶ。
- 参加とその後の利用を確かめる:申し込み、実際の参加、購入、次回利用を分けて記録し、次に変える点を一つ決める。
日程が迫ったら全員に何度も送るのではなく、すでに申し込んだ人には当日の持ち物、未申込の人には判断に足りない情報を届けます。配信を止めたい人が止められるようにし、定員に達したら受付の案内も更新します。
反応が少なかった場所から直す
たとえば、パンの試食会の案内は読まれているのに、予約が入らない。「企画がつまらなかった」と決める前に、予約ページを見直します。
- 「何時に終わる?」が分からない:所要時間を案内に足す。
- 「一人でも参加していい?」と迷う:一人参加も受け付けるなら、そのことを書く。
- 予約ボタンが見つからない:参加費や日時を確認したあとに、申し込める位置へ置く。
案内自体が読まれていないなら、告知する場所や見出しから。参加はあるのに次の利用につながらないなら、当日の体験やその後の案内から。止まった場所を分けると、「次はもっと安くしよう」だけで終わらなくなります。
- 誰に向けた企画なのか、一文で説明できる
- 参加すると何ができるか、お客様の言葉で伝わる
- 日時・価格・対象・申し込み方法がそろっている
- 準備費や広告費を含め、負担できる金額が決まっている
- 申し込み数だけでなく、参加・購入も確認できる





