結論
ネットショップが売れないとき、足りないのはアクセスではなく、初めての人が買えるものであることが多いです。
商品ページに並んでいるのが贈答用のセットだけ、あるいはまとめ買いだけという店は珍しくありません。作り手からすると当たり前の品ぞろえですが、初めての客は「おいしいかどうか分からないものに、4,000円を先に払う」判断を求められています。ここで止まっています。
広告を足すと、この止まる場所に人を多く運ぶことになります。費用は増えますが、詰まりは動きません。先に直すのは商品のほうです。
この記事で扱う範囲
扱うのは、初めての人向けの入口商品をどう作るかです。作り方・価格の決め方・やりがちな失敗・2回目につなげる方法まで書きます。
扱わないのは、広告の運用そのものです。広告のリンク先ページの中身は実測した広告のリンク先ページは何でできているか。
この記事は当社(アドキタ)が支援した新吉製麺所の事例を下敷きにしています。そのページに書いてある経緯を繰り返すのではなく、同じことを自分の店でやるための手順に組み直したものです。1社ごとの詳しい話はリンク先にあります。
実際にあった詰まり方
支援した店で、実際に入口が塞がっていた例です。

製麺所の事例では、ネットショップに4,000〜5,000円のギフトセットしか置かれていませんでした。
商品そのものに問題があったわけではありません。化粧箱に8種類の麺が入っていて、贈り物としてはよくできています。問題は、それしか買えなかったことです。
- 自分で食べてみたい人 → 高すぎる
- 味を知らない人 → 8種類も要らない
- 誰かに贈りたい人 → ちょうどよい
3人のうち2人が、買えるものを見つけられません。
なぜ「重い入口」で止まるのか
理由は3つあります。どれも心理の話ではなく、買う人の置かれている状況の話です。
| 初めての人 | 2回目以降の人 | |
|---|---|---|
| 味・使い心地 | 分からない | 知っている |
| 失敗したときの損 | 支払った全額 | ほぼない |
| 判断に必要な情報 | 多い | 少ない |
| 妥当な金額 | 失っても諦めがつく額 | 必要な量の分だけ |
初めての人と、リピーターで違うもの
1. 判断できない金額になっている
初めての買い物は、外れたときに払った分がそのまま損になります。だから金額の上限は「おいしさへの期待」ではなく、外れても諦めがつくかどうかで決まります。
この線は商品によって違いますが、贈答価格帯とは別の場所にあります。贈答は「相手に失礼にならない額」で決まるので、そもそも判断の基準が違う買い物です。同じ棚に並べると、片方は必ず売れません。
2. 選ぶ手間が乗っている
種類が多いのは、知っている人には親切です。初めての人には宿題です。
8種類の違いを理解してから買う、という手順が発生します。ここで「あとで見よう」になると、まず戻ってきません。
3. 送料が最後に出てくる
商品を選んだあとにカートで送料が乗ると、そこで判断がやり直しになります。金額の話は次の章でまとめて扱います。
入口商品の4つの条件
入口になる商品には、共通して4つの条件があります。値段の安さは、そのうちの1つでしかありません。

順番に見ていきます。
条件1|外れても諦めがつく金額
送料を含めた支払い総額で考えます。 商品1,000円・送料800円なら、買う人にとっては1,800円の買い物です。
ここで多いのが、入口商品だけ送料が割高になるという形です。安い商品を作ったのに、送料が相対的に重くなって総額が下がらない。メール便やネコポスに入るサイズで設計する、という判断がここで効いてきます。箱のサイズは商品設計の一部です。
条件2|使い切れる量
多く入っていることは、初回では利点になりません。余ると次を買う理由が消えます。
食品なら1〜2食分、消耗品なら数回分。「もう少し欲しい」で終わるのが、次につながる量です。
条件3|選ばなくていい
種類は絞ります。 迷わせないことが目的なので、多くても3つまでです。
いちばん自信のあるものを1つ選べないなら、そこが決まっていないということでもあります。何を売っている店なのかがぼやけていると、この判断ができません。似た詰まり方は満足度が高いのに客が増えない理由でも扱っています。
条件4|2回目につながる
ここが最も抜けます。入口商品は、単体では利益が出ないことが多いからです。
同梱するものを先に決めておきます。
- 次回に使えるもの(クーポン・案内)
- 作り手や工程の話(読み物として1枚)
- おいしい食べ方・使い方
- 連絡先(LINE・メール)への案内
製麺所の事例でも、購入後にLINEとメルマガで開発の話や食べ方を送り、次につないでいます。配信は売り込みばかりにしないことが前提です。ここはLINE配信で直接売らない設計とメルマガの追伸で何を書くか。
やりがちな失敗
入口商品を作ろうとして、別のことをしてしまうパターンが3つあります。どれも「安い商品を置いた」という結果だけは同じになるので、あとから気づきにくいところです。
値引きは入口商品ではない
いちばん多いのが、既存の商品を安くして入口にするというやり方です。これは別のことをしています。
| 値引き | 入口商品 | |
|---|---|---|
| 何を変えたか | 価格だけ | 量・組み合わせ・売り方 |
| 元の商品 | 定価が下がって見える | そのまま |
| 次に定価で買うか | 買いにくくなる | 買う理由がある |
| 続けられるか | 続けると定価が戻せない | 続けられる |
値引きと入口商品の違い
値引きは、定価で買った人に対する説明がつかなくなります。 一度下げた価格を戻すのは、新しく作るより難しい作業です。
送料無料ラインと矛盾する
「5,000円以上で送料無料」を掲げている店に、1,000円の入口商品を置くとどうなるか。入口商品を買う人だけが送料を払うという形になります。
これは、いちばん不安な人にいちばん不利な条件を出していることになります。入口商品は送料込みの価格にする、といった整理が要ります。
原価が合わない
写真を実物で撮る
食品や化粧品は、写真が判断材料そのものです。入口商品はいちばん慎重に見られる買い物なので、ここで撮った1枚がそのまま効きます。
手元にある実物を撮るだけで、他店と差がつきます。 生成画像や素材写真では出ない情報が写るからです。線引きはAI画像を集客に使う線引き。
ページと広告の言葉をそろえる
入口商品を作ったら、広告・商品ページ・同梱物で同じことを言っているかを見ます。
製麺所の事例では、ページの写真と広告のコピーを同じ方向に統一しています。広告で「まず食べてみてください」と言っておいて、ページの見出しが「贈答用高級麺」だと、クリックした人はもう一度考え直すことになります。
ページの構成そのものはLP改善で最初に見るところ、広告文の作り方は長く回っている広告文の作り方。
自分で測るときに、先に決めること
この事例には改善率が載っていますが、測定の期間と比較対象が公開されていません。 条件のない数字は「そういうことがあった」以上には読めないので、この記事では打ち手の手順だけを書いています。
自分で試すときは、始める前に測り方を決めてください。あとから決めると都合のよい期間を選べてしまいます。事例の数字の読み方は店舗集客の事例7件を並べて分かったこと。
順番に確認する
作る順番があります。上から順に、決めていないと次が決まりません。
- 今のネットショップで、いちばん安く買えるものの送料込み総額を出す
- 初めての人がその金額を払うか、身内以外の3人に聞く
- 払わないなら、量を減らした版・種類を絞った版を作れるか検討する
- 梱包サイズを先に決める(メール便・ネコポスに入るか)
- 原価・送料・手数料・同梱物を足して、1つ売ったときの損益を出す
- 2回目の購入で回収する前提なら、必要な再購入率を出す
- 同梱物(次回案内・読み物・連絡先)を決める
- 商品ページと広告の言葉をそろえる
- 測り方を決めてから、公開する
- 入口商品の総額が、送料込みで判断できる金額になっている
- 種類が3つ以下に絞れている
- 使い切れる量になっている
- 同梱物が決まっていて、次への案内が入っている
- 1つ売ったときの損益を計算した
- 送料無料ラインと矛盾していない
- 商品ページの写真が、実物を撮ったものになっている
- 公開前に、何をどう測るかを決めた
自分でやるか、相談するか
入口商品を作るところまでは、自分でできます。 量を減らす・種類を絞る・梱包を変える、はどれも社内の判断です。むしろ商品を分かっている人がやったほうが早い部分です。
外に頼む価値が出るのは、そのあとです。広告を当てる段階になると、測り方の設計と、止めどきの判断が要ります。 ここは経験の差が出るところで、独学だと「効いているのか分からないまま続ける」になりやすい場所です。
- まだ何も試していない → 入口商品を作って、広告なしで様子を見る
- 入口はあるが売れない → ページと言葉のズレを先に見る
- 入口があって広告も回している → 測り方を疑う
当社の支援事例には、この順番で進めた例が業種別に並んでいます。7件を横断して共通していた打ち手は店舗集客の事例7件を並べて分かったこと。





