結論
整骨院・接骨院のチラシに書けることは、10個しかありません。 効果も、料金も、体験談も、施術前後の写真も、全部書けません。
たとえば、こういうチラシは作れません。
- 「腰痛の根本改善」「痛くない施術」
- 「初回2,980円」「今だけ駐車料金無料」
- 「患者様の声」「施術前後の写真」
- 「各種保険取扱い」「交通事故取扱い」
チラシで説得しようとするから、書けないことを書くことになります。書けることが少ないと分かったら、打ち手は1つです。
媒体ごとに役割を分けます。 チラシは「ここに院がある」と知らせるところまで。説明は、院内で配るものと自院サイトでやります。こちらは扱いが違って、書ける幅があります。
そして1つだけ、順番を間違えると効く落とし穴があります。リスティング広告やバナー広告を出すと、リンク先の自院サイトまで広告として扱われます。 幅があったはずの場所が、広告の枠に入ります。
書けるのは10項目だけ

条文(柔道整復師法第24条第1項)が挙げているのは、次の3つです。
- 柔道整復師である旨、その氏名、住所
- 施術所の名称、電話番号、所在の場所を表示する事項
- 施術日または施術時間
これに加えて、厚生労働大臣が指定した事項(平成11年厚生省告示第70号)が7つあります。
| 項目 |
|---|
| ほねつぎ(又は接骨) |
| 柔道整復師法第19条第1項前段の規定による届出をした旨 |
| 医療保険療養費支給申請ができる旨(脱臼・骨折の患部の施術に係る申請については、医師の同意が必要な旨を明示する場合に限る) |
| 予約に基づく施術の実施 |
| 休日又は夜間における施術の実施 |
| 出張による施術の実施 |
| 駐車設備に関する事項 |
告示で追加されている7項目
合わせても10項目です。 ここに無いものは広告できません。
技能・施術方法・経歴も書けません
第24条第2項は、書いてよい項目について広告する場合でも、内容が次にわたってはならないとしています。
柔道整復師の技能、施術方法又は経歴に関する事項
つまり、名前や施術所名を書くときに、腕前や手技や経歴を添えることもできません。
よく書いてしまうもの
指針が不可の例として挙げているものを並べます。街でよく見かけるものばかりです。
| 書きがちな文言 | 指針での扱い |
|---|---|
| 各種保険取扱い | 不可 |
| 労災保険取扱い | 不可 |
| 自賠責保険取扱い | 不可 |
| 交通事故取扱い | 不可 |
| 慢性病の根本治療 | 不可(効果) |
| 難病治療の専門 | 不可(効果) |
| 痛くない鍼 | 不可(効果) |
| 高い技術/唯一の技術 | 不可(技能) |
| 患者の体験談・手記 | 不可 |
| 加工・修正した施術前後の写真 | 虚偽広告 |
| 条件を変えて撮った施術前後の写真 | 誇大 |
| 満足度○%/改善率○%以上 | 虚偽広告 |
| たった1回で効果を実感 | 虚偽広告 |
| 顧客満足度No.1 | 虚偽広告 |
| 保険適用でとってもお得に | 品位を損ねる |
| 交通事故無料 | 品位を損ねる |
| 今だけ駐車料金2時間無料 | 品位を損ねる |
| 芸能人が推奨・受療している旨 | 規制の対象 |
どれも指針が不可の例として挙げているものです
「保険が使えます」はどう書くか
いちばん多い書き間違いがここです。書けるかどうかは、保険という言葉ではなく書き方で決まります。
❌ 書けない
- 各種保険取扱い
- 労災保険取扱い/自賠責保険取扱い
- 交通事故取扱い
医療保険療養費支給申請とは関係がないため、と指針は説明しています。
⭕ 書ける
告示で認められているのは「医療保険療養費支給申請ができる旨」です。指針は、そのまま使える言い換えを2つ挙げています。
医療保険により利用者は施術費用の一部負担で施術を受けることができます
一旦施術費用の全額を負担いただきますが、後で保険者に対してその費用の一部を請求することができます
施術所の名称にも制限があります
指針は、「○○整骨院」に付ける語として不可の例を挙げています。メディカル、クリニック、リハビリ、整体、カイロプラクティック、リラクゼーション、交通事故専門、むちうち専門、骨盤矯正、○○堂、サロン、センターなど。
媒体で扱いが変わる

ここが、この記事でいちばん大事なところです。同じ文章でも、どこに載せるかで扱いが変わります。
どれが広告に当たるか
指針は、何が「広告」に当たるかを媒体ごとに整理しています。
| 媒体 | 広告に当たるか |
|---|---|
| チラシ・DM・ポケットティッシュ・看板・電車内広告 | 広告(媒体の例として明示) |
| 施術所内で掲示・配布するパンフレット | 受け手が利用者に限られる限り、広告に当たらない |
| 自院のウェブサイト | 原則として広告に当たらない(認知性を欠くため) |
| バナー広告・リスティング広告・動画広告 | 広告 |
| SNSの書き込み・有料の口コミ/ランキング掲載 | 広告 |
指針での整理
広告を出すと、自院サイトまで広告になる
指針は、バナー広告やリスティング広告からリンクした施術所のサイトは、一体として広告扱いになる、と整理しています。
これが何を意味するか。
- 自院サイトは、そのままなら広告に当たらない
- だから、書ける内容の幅は広い
- ところがリスティング広告を出すと、リンク先の自院サイトまで広告扱いになる
- サイト側の記述が、限定列挙の枠に収まっているかを問われる
書けないぶん、役割を分ける
チラシ1枚で来院まで決めさせようとしていませんか。書ける項目が10個しかない紙で説得しようとすると、行き着く先は規制に触れる表現です。
1枚で完結させるのをやめて、書ける場所へ仕事を渡します。
| 媒体 | 扱い | 書ける内容 | 向いている役割 |
|---|---|---|---|
| チラシ | 広告 | 10項目のみ | 存在を知らせる |
| ローカル広告 | 広告(リンク先も一体) | 10項目のみ | 近くの人に届かせる |
| 自院サイト(広告からリンクしない) | 原則、広告でない | 幅がある | 調べた人に説明する |
| 院内の掲示・配布物 | 広告でない | 幅がある | 来た人に伝える |
| LINE(来院した人への配信) | — | — | 再来につなげる |
媒体の役割は、書ける内容で決まる
チラシの役割は「ここに整骨院がある」と知らせるところまでです。説明はもっと後ろでやります。
単発で終わらせない順番
事例の課題は「集客施策が単発になりやすい」でした。
規制を踏まえると、単発になる理由が見えてきます。チラシで書けることが少ないので、1回まいて反応が薄いと、次の手がなくなるからです。
- チラシは「知らせる」に徹する(10項目の範囲で)
- 調べた人が着地する自院サイトを整える(広告からリンクしない状態を保つ)
- 来た人に、院内の掲示・配布物で伝える(ここは幅がある)
- 来院後の連絡手段を持つ
- 1に戻るのではなく、2〜4を厚くする
5番が要点です。 チラシの反応が薄いときに、チラシの表現を強くしようとすると規制側へ寄ります。厚くするのは、規制が緩い場所のほうです。
測る数字と、出せる数字は別
ここは他業種と決定的に違うところです。「満足度○%」「改善率○%以上」は虚偽広告として取り扱う、と指針に明記されています。
中で測るのは自由ですが、測った数字を広告に載せられるとは限りません。 施策の良し悪しを判断するために数えることと、その数字を外に出すことは、この業種では完全に別の話になります。
判断のために数えるなら、始める前に期間と比較対象を決めてください。事例の数字の読み方は店舗集客の事例7件を並べて分かったこと。
出す前の確認
- 載せている項目が、法律の3項目+告示の7項目に収まっている
- 技能・施術方法・経歴に触れていない
- 「各種保険取扱い」「交通事故取扱い」を書いていない
- 症状名や効果を書いていない
- 体験談・施術前後の写真を載せていない
- 割引やキャンペーンを書いていない
- 施術所の名称に、不可とされる語を含めていない
- リスティング広告やバナー広告を出すなら、リンク先の自院サイトも枠に収まっているかを見た
- 代理店に任せる場合も、内容を自分で確認した
- 出す前に、自治体の担当課か専門家に確認した
今日やること
今あるチラシを1枚出して、10項目に無いものへ線を引く。 それが、今のチラシで消える部分です。
線が多くても問題ありません。チラシから消した内容は、院内の掲示と自院サイトへ移すだけです。次に決めるのは、どこへ移すかだけになります。
- チラシで説得しようとしている → まず10項目に絞る
- 絞ったら書くことが無くなった → 院内と自院サイトを厚くする
- 広告を出している → リンク先が広告扱いになっていないかを確認する





