結論

「満足してもらえたから、次も来てくれる」は起きません。 満足した人は、黙って離れていきます。

商品が悪いわけではありません。広める仕組みと、思い出してもらう仕組みが無いだけです。やることは3つです。

  • 頼む — 口コミは、こちらから言わないと書かれません
  • 忘れられる前に接触する — 数週間で店名も出てこなくなります
  • 「うちはこうです」と言い続ける — 目の前に別の店が出れば、人は比べます

たとえば、こういう状態が「満足しているのに来ない」です。

  • 「また来ます」と言って帰った人が、半年たっても来ていない
  • 常連が、家の近くにできた新しい店に移っていた
  • 5段階で全部5をつけてくれた人が、口コミは書いていない

どれも、サービスを直しても解決しません。直す先は、頼み方と接触の間隔と、言い方です。

認めるべき3つの前提

打ち手の前に、次の3つを事実として受け入れる必要があります。感情的には受け入れがたいものですが、ここを認めないと施策が組めません。

前提何が起きるか
満足しただけでは口コミしない良い体験をしても、わざわざ投稿する人はごく一部
良い商品でも忘れる数週間で他の情報に埋もれ、店名も思い出せなくなる
すぐ他に移る目の前に別の選択肢が出れば、比較して移る

この3つは「サービスが悪いから起きる」のではなく、満足していても起きます。

打ち手1: 口コミは「頼まないと起きない」

満足しても口コミは起きないので、こちらから依頼することになります。依頼すること自体は問題ありません。Googleもビジネスオーナー向けに依頼のヒントを公開しています。

問題は頼み方です。「シェアしたらプレゼント」という形が広く使われていましたが、これは今は使えません。

なお、集める過程で低い評価が付くこともあります。消せる条件と手順はGoogle口コミの削除依頼が通る条件

  • Googleの口コミ: 特典と引き換えの投稿はポリシーで禁止されています。満足した人だけを選んで依頼することも禁止です
  • SNSなどでの紹介: 便益を渡すこと自体は禁止ではありませんが、2023年10月以降、事業者が依頼・提供したのに広告と分からない投稿は景品表示法違反になります

代わりにやること

  1. 来店客全員に同じ案内をする。満足度で相手を選ばない(選別はポリシー違反)
  2. 投稿の手間を減らす。口コミ投稿の直接URLをQRコードにして店頭・レシートに置く
  3. 投稿されたら返信する。返信があると、次に投稿を考える人が「読んでもらえる」と分かる

なお、誰に紹介を相談するかを絞る方法はあります。購入者に推奨度を0〜10で聞き、9〜10と答えた人にだけ相談する形です。ただしこの絞り込みは、Google口コミの依頼には使えません(選別に当たるため)。詳しくはアンバサダーマーケティングの始め方を確認してください。

打ち手2: 忘れられる前に、決めた間隔で接触する

人は忘れます。だから接触の間隔をあらかじめ決めて、仕組みで送ることになります。

よく「3日後・7日後・14日後・1か月後」といった間隔が紹介されます。これは経験則として広まったもので、業種や単価によって適切な間隔は変わります。そのまま使うのではなく、次の順で自店の間隔を決めてください。

  1. まず1回だけ決める。「来店から7日後に1通」のように、1つの間隔から始める
  2. その接触があった人となかった人で、再来店率を比べる
  3. 差が出たら回数を増やす。差が出なければ内容を変える(回数を増やす前に)

LINEで送る場合、接触回数はそのまま費用になる

LINEヤフーは通数のカウント方法を「メッセージを送った回数 × 送った友だちの数」と公表しています。接触を増やすほど、通数は掛け算で増えます。

友だち数月3回だと収まるプラン
500人1,500通ライト(5,000通・月5,000円)
1,000人3,000通ライト(5,000通・月5,000円)
3,000人9,000通スタンダード(30,000通・月15,000円)

料金は2026-08-27時点の公表値(税別)。追加メッセージは配信数によって単価が異なり、2026年10月1日に改定が予定されています。

接触の回数を決める前に、通数がプランに収まるかを計算してください。 途中でプランを変えると、その月の予算が崩れます。

配信の書き方、特に「読ませたい内容」と「押してほしいリンク」を分ける方法は「追伸」を2通目に送る配信テクニック

打ち手3: 「選ばれ続ける理由」を伝え続ける

客は他に移ります。だから自店を選ぶ理由を、1回ではなく継続して伝えることになります。

ここで「他社と比べて優れている点をアピールし続ける」という言い方がよくされます。方向は合っていますが、言い方を間違えると景品表示法に触れます。

消費者庁は不当表示として次を挙げています(表示規制の概要)。

  • 優良誤認=中身が他社より著しく良いように見せる表示
  • 有利誤認=値段や条件が他社より著しく得に見える表示

消費者庁が挙げている例は、「この技術の商品は日本で当社だけ」と書いたが他社も売っていた、「他社の2倍の内容量」と書いたが同程度だった、といったものです。

資料がなくても言えること

比較の形を取らなければ、根拠資料の問題は起きません。伝え方を変えます。

避ける言い方代わりの言い方
他社より効果が高いこの施術は◯回で△△をする内容です(自店の内容を書く)
業界最安値当店の料金は◯◯円です。追加費用は△△のときだけかかります
どこよりも早いご予約から最短◯日でご案内しています
日本で当社だけ当店が力を入れているのは◯◯です

左は根拠資料を求められる可能性があり、右は自店の事実を述べているだけです。

「他と比べてどうか」ではなく**「うちはこうです」** と書けば、伝わる情報量は変わらず、根拠資料の問題も起きません。加えて、どういう人に向いているかを書くと、合わない客を無理に引き止めずに済みます。

美容室のように「2回目が来ない」が起きやすい業種では、そもそもどこで詰まっているかを先に切り分けたほうが早いです。逆に、来店の間隔が数年あく工務店やリフォーム会社では、再依頼そのものが最大の入口になります。

満足度は「集客の指標」ではなく「探す道具」

満足度が高い=集客できる、ではない。使えない使い方は、満足度が上がったから客が増える、という因果として使うこと(満足度が上がっても客数は増えない)。使える使い方は、満足度が高い人=口コミや紹介を相談できる人を特定するために使うこと。満足度は「結果の数字」ではなく、次の相手を見つける道具として使う。
満足度は結果を示す数字ではなく、次に頼む相手を見つける道具です

ここまでを踏まえると、満足度調査の使いどころが変わります。

  • 使えない: 満足度が上がったから客が増える、という因果として使う
  • 使える: 満足度が高い人=口コミや紹介を相談できる人を特定するために使う

満足度は結果を示す数字ではなく、次の相手を見つける道具として使います。

3つの打ち手の確認項目

満足の先にやること
  • 口コミの依頼を、来店客全員に同じ方法でしている(特典と引き換えにしていない)
  • 口コミ投稿のURL・QRコードを用意し、投稿の手間を減らしている
  • 届いた口コミに返信している
  • 再接触の間隔を1つ決めて、接触ありとなしで再来店率を比べている
  • LINEの場合、接触回数×友だち数がプランに収まるか計算した
  • 他社比較の表現を使う場合、根拠資料を出せる状態にしている
  • 比較でなく「自店はこうです」「こういう人に向いています」の形で書けている

今日やること

口コミ投稿のURLを開いて、QRコードにして店頭に置く。 3つのうち「頼む」がこれで動き出します。

接触の間隔と言い方は、そのあとで構いません。先に決めるのは、頼む場所を作ることだけです。